*日記の余白に乱れた筆跡で走り書きがある*
ずっと遠くで何かが呼んでいる。
人の言葉かも定かではない声だが「戻って来い」と。
だがどこへ? 今の私の戻る場所は彼女の傍だというのに。
今日は誰とも話さず外にいた。正確には、彷徨っていた。
クリスタルから聞こえる声も雑音としか捉えなかったあたり、
相当にキていたのだろう。
呼び声を感じながら、ひたすら狩りを続けながら歩き、
正気付いたのはリーヴの中で動物の歯を手に取ったあたり。
矢入れの中はほぼ空で、薬もほぼ使い切った状態。
幸いにして大きな怪我はなかったが、
いくつか無謀なことをしていたような記憶も薄ぼんやりとある。
呼ばれているような感覚になることは向こうにいた時もあった。
むしろ、あちらにいた時の方が頻繁だったように思う。
だが、その感覚に抗えず外に出たことは決してなかった。
「あぁ、呼んでいるな」と思っただけで。
何が呼んでいるのか、そもそも何故そんな感覚があるのか。
今はわからない。わかりたくもない。
次に呼ばれても決して出ていかないように、気を引き締めておかなければ。
これでは人の事をどうこう言えない。
そうだろう?
PR